頼朋という男が投資を始めた理由　＃7

土曜日の午後、頼朋の家では家族会議が開かれていた。テーマは「お金とリスク」。最近投資を始めた頼朋と真紗子は、短期的な評価額の下落を経験し、改めて家計全体の見直しをしようという話になったのだ。

リビングのテーブルに集まったのは頼朋、真紗子、そして小学5年生の娘・大媛。カーテン越しに差し込む柔らかな午後の日差しの中、3人はそれぞれの考えをぶつけ合った。

「まず、生活防衛費を確保しておくべきだと思うの。」

真紗子が切り出した。「何か予想外のことが起きた時に備えて、生活費をどれくらい手元に残しておくかが大事だと思うのよ。」

「生活防衛費？」と頼朋が聞き返すと、真紗子は資料を広げながら説明を始めた。

「例えば、家族3人で毎月かかる生活費を計算してみるわね。住宅ローン、食費、光熱費、通信費、教育費、それから保険料も含めて……」

真紗子は電卓を叩きながら、「うちは大体30万円くらいかしら。それを最低でも6ヶ月分、できれば1年分は現金で用意しておくべきなのよ。」

頼朋は頷きながら「つまり、180万から360万円は現金で持っておけってことか……。確かに、それがないと投資どころじゃないな。」

「それじゃあ次は、家族全員でリスク許容度チェックをやってみましょう。」真紗子がスマホを操作しながら、銀行のウェブサイトにある簡単な診断ツールを開いた。

「質問に答えていけば、自分がどれくらいリスクを取れるかがわかるのよ。」

頼朋は興味津々で画面を覗き込み、「お、これは面白そうだな！」と手を伸ばした。大媛も「私もやってみたい！」と興味津々だ。

質問は次のような内容だった：

結果が出ると、真紗子は「慎重派」、頼朋は「やや積極派」、大媛は「超楽観派」と診断された。

「お金が増えたら、ジュニア小説のシリーズを全部買いたい！」と目を輝かせる大媛に、真紗子と頼朋は思わず顔を見合わせて笑った。

頼朋は診断結果を見ながら言った。「確かに、俺は少しリスクを取ってでもリターンを狙いたいタイプかもな。でも、その分ちゃんと勉強しないとダメだな。」

真紗子は「そうね。でも、生活防衛費をちゃんと確保してからの話よ。それができてないと、何かあった時に慌てることになるから。」と釘を刺す。

頼朋は頷きながら、「リスク許容度って、自分がどれだけ損失を受け入れられるかを知ることでもあるんだな。なんとなく曖昧だったけど、こうやって具体的に考えるとわかりやすい。」と感心していた。

会議の途中、大媛が小さな声で言った。「ねえ、お金が増えたら私のお願いも聞いてくれる？」

頼朋が「もちろん！それで何が欲しいんだ？」と聞くと、大媛は嬉しそうに「ジュニア小説のシリーズ、全部揃えたいの！図書館で借りてるんだけど、家に全部置いておきたいんだもん！」

頼朋は「それくらいなら、お金を増やす前に買ってあげてもいいけどな」と笑い、真紗子は「まあ、次のお誕生日のプレゼントに考えましょう」と微笑んだ。

大媛の純粋な願いに、家族全員の表情がほころんだ。

会議の最後、真紗子が「まずは生活防衛費をしっかり確保して、その上でリスクを考えた投資を続けましょう」とまとめた。頼朋も「それが一番現実的だな」と賛同した。

そして、真紗子が「それと、大媛のジュニア小説のために少しだけ予算を割いてもいいわね」と言うと、大媛は「やったー！」と歓声を上げた。

こうして家族は、「まずは安全な投資信託でコツコツ続ける」という方針を固めた。

頼朋も真紗子も、大媛の笑顔を見ながら、この決断が家族の未来を支える第一歩になると感じていた。

──リスクを学ぶことは、自分と家族を守ること。家族の会話から、小さな前進が始まる。

あなぐま

ライトノベルは、小学生の間で人気だよね。溺愛ものとか、執事ものとかがあって、僕もドキドキしちゃうよ。