9章:未来への準備
日曜日の午後、リビングには静かな時間が流れていた。頼朋はソファに腰掛け、ノートパソコンで投資信託の運用状況を確認していた。真紗子はダイニングテーブルに座り、同じようにiPadで自分の証券口座を開いている。娘の大媛は、部屋で期末テスト勉強の合間にダンスの振り付けを練習しているようだった。
「独立資金も、少しずつ貯められてるわ。」
真紗子がふと微笑みながら口座の画面を見つめて言った。

真紗子の新しい夢
真紗子には密かな夢がある。それは、自分の経験を活かして起業すること。現在は外資系医療機器メーカーのマネージャーとして働いているが、「会社」という枠組みを離れ、自分の力で挑戦してみたいという気持ちが膨らんでいた。
「頼朋さん、もし私が独立したら、どう思う?」
真紗子は画面から目を離し、頼朋に問いかけた。
「いいんじゃないか?お前なら絶対成功すると思うよ。でも、そのためにも今の投資を続けて資金をしっかり準備しないとな。」
「ありがとう。でもね、まだ具体的に何をするかは決めてないの。とりあえず今は資金を貯めながら、アイデアを練るつもり。」
真紗子は、日々の仕事の忙しさに追われながらも、自分の将来に向けて一歩ずつ準備を進めている。その姿は、頼朋にとっても励みだった。

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一方、頼朋も少しずつ「老後」という言葉を現実のものとして考えるようになっていた。
「この調子でいけば、老後の資金もなんとか準備できそうだな。」彼は画面を見ながらそう呟く。
彼らは2人とも、「老後資金として最低3000万円は必要」といった話を耳にしていた。それに対して、現在のペースではまだ道半ばだが、NISA、iDeCoを活用して計画的に積み立てを進めていた。
「老後って考えると、なんだかまだ実感が湧かないわ。でも、準備だけはちゃんとしておかないとね。」
真紗子はそう言いながらも、頼朋と同じく安心感を少しずつ覚えていた。
家族で描く未来
その時、大媛がリビングに顔を出した。「パパ、ママ、ちょっと見て!」と、iPhoneを持ちながらダンスの動画を見せてくる。文化祭の発表に向けて撮影した練習の映像らしい。
「すごいじゃないか。こんなに上手になったんだな。」頼朋が感心して言うと、大媛は照れくさそうに笑った。「でもね、これだけじゃなくて、勉強も頑張らないと。将来は大学に行くために、私も頑張るから!」
大媛のその言葉に、真紗子は「大学進学費用もちゃんと用意しておくから、安心してね。」と優しく答えた。
「でもね、学費だけじゃなくて自分でできることもやりたいの。たとえばとか、クラブの大会で良い結果を出して推薦を狙うとか!」
娘の前向きな姿勢に、頼朋と真紗子は目を合わせ、どこか誇らしげに微笑んだ。
「大媛も、成長したよな。小学生の頃はただ明るいだけの子だったけど、今じゃちゃんと自分の未来を考えてる。」頼朋がしみじみとそう言うと、真紗子は「本当にね。私たちも負けていられないわね。」と笑みを浮かべた。
「じゃあ、これからの計画をもっとしっかり立てるか。まずは教育資金、次に老後資金、それから……真紗子の独立資金な。」
頼朋のその言葉に、真紗子は少し驚いた表情を見せた。「私のことまで考えてくれてたの?」
「当たり前だろ。家族の未来は一緒に考えるものだ。」
未来への準備
家族の未来に向けた準備は、まだ道の途中だ。それでも、長期投資を続け、計画的に資金を積み立てていくことが、頼朋と真紗子にとって確かな自信になっていた。
翌朝、いつものように忙しい一週間が始まる。それでも、彼らはそれぞれの目標に向かって前向きに進んでいた。家族全員が同じ方向を向きながら、未来を描いているのだ。
──それぞれの夢と計画が交差する中で、家族は未来への道を歩き続ける。